CASESTUDY 世界14万人に、
心のこもった記念品を。
大手飲料メーカー様

PROJECT OUTLINE
大手飲料メーカーの「80周年記念品」。
世界24カ国14万人に配布する最上レベルの記念品の企画を手がけた案件。
高いクオリティで大量の商品の供給が必須となったが、各部門とのチームワークにより滞りなく納品に至った。

求められたのは、サプライズのある着想

取引先である百貨店の法人外商部から内海産業に声がかかったのは、1月のこと。大手飲料メーカーが、80周年の記念品を求めていた。高級なものを「感謝の気持ち」を込めて贈りたいという。驚くべきは、そのスケール。14万個。全世界の従業員に配布する。それも、退職した人も含めて。納期は11月。10ヶ月しかなかった。
百貨店と二人三脚で発想し、提案したのは、桐箱に入った若狭塗の「八角」の高級箸セット。80周年の「8」にちなんだものだった。競合からもたくさんの提案が行われた中、企画は見事、受け入れられる。そして、顧客からひとつの要望が寄せられた。営業担当の中山が語る。

「ただの高級な記念品というだけでは終わらない、何か『サプライズが欲しい』ということでした。」

桐箱の大きさは変えられない。知恵を絞り、出てきたアイディアは、受け取る人が驚く仕掛けだった。平らな厚い台紙を同封、折り込めば飾り台にできる仕組みにし、桐箱に入った鶴と富士山の描かれた高級箸を、美しく飾ることができるようにした。これは海外でも日本でも、きっと喜んでもらえる。中山はそう考えた。また、より箸が映えるよう、日本の伝統文化の水引で美しい箸置きを加え、さらに、桐箱の内側に、社長の感謝の思いがこもった手紙を同封することを提案した。

プロジェクトメンバー

品質管理のために中国江蘇省、若狭、神戸へ幾度も足を運ぶ。

受注金額は1億円を超える。だが、難しいプロジェクトになることは予想がついた。記念品の量だけではない。桐箱の中には、飾るための取扱説明書を入れることになっていたが、日本語を含めると9つの言語で作らなければいけない。それを24の国に送る。

「しかも、コントロールしなければならない資材は、多岐にわたりました。箸、桐箱、台紙、メッセージカード、水引……。これら別々のルートで仕入れるものを確実に揃え、セットアップしなければならない。」

すぐに営業推進部のメンバーに声をかけ、企画部とも連携した。週1度のチームミーティングが始まる。まず行ったのは、リスクシミュレーション会議。商品供給を滞らせる、どんなリスクがあるのか、徹底的に洗い出し、そして担当を決め、一つひとつクリアしていった。

品質管理の担当者は、福井県の箸工場へ、神戸のフィルム印刷工場へ、さらには桐箱を製造する中国の工場へも視察に飛んだ。桐箱は緻密な設計で作られていた。上海から6時間かかる場所にあったが、本当に自分たちの求めるものができるのか、梱包はどのように行われるのか、自分たちの目で確かめないと気が済まなかった。

営業推進部のスケジュール管理のもと、神戸の検品、セットアップ現場には、続々と資材が納入されていく。だが、ここからが本当の正念場となった。膨大な量の資材を14万個もの完成品にセットアップしなければならない。

記念品を受け取った感動がブログに。

高級箸から水引、台紙、取扱説明書まで、どうすれば最も効率良く検品し、セットアップしていくことができるか。日数がかかれば、それだけコストに響く。限られた人数で、最大の効率を上げるべく、試行錯誤が行われた。結果的に、1日2000個だったセットアップが、やがて1日5000個できるまでになった。しかも、9言語もある。中身を間違えないよう、細心の注意が必要だった。しかるべきものが、しかるべき期日に、しかるべき場所に届いていなければいけない。

「80周年の記念の品。世界のどこにもない記念品です。不良品や過不足は、絶対にあってはならないと考えていました。」

11月、納品は無事に終わった。緊張感いっぱいの中で進んだプロジェクト。しかし、本当の勝負は、記念品が手元に届いてからだと考えていた。何かが起きるかもしれない。

だが、その後、一件の問い合わせもなかった。

うれしい出来事が後にあった。記念品を受け取った一人の元従業員の方が、その喜びを写真とともにブログにアップしていた。そこには、「辞めた人にまで、ここまでしてくれる会社で働けて、本当によかった!」と受け取った際の感動が綴られていた。ブログを見たとき、プロジェクトのメンバーたちは思わず目頭を熱くした。

「私たちはもちろんですが、携わってくださったパートナー企業のみなさん、お仕事を任せていただいたお客様、そしてその先にいるエンドユーザーの方まで、このプロジェクトに関わった全ての人が幸せになれた。こういう経験ができることが、この仕事の醍醐味だと思います。」