求められたのは、サプライズのある着想
取引先である百貨店の法人外商部から内海産業に声がかかったのは、1月のこと。大手飲料メーカーが、80周年の記念品を求めていた。高級なものを「感謝の気持ち」を込めて贈りたいという。驚くべきは、そのスケール。14万個。全世界の従業員に配布する。それも、退職した人も含めて。納期は11月。10ヶ月しかなかった。
百貨店と二人三脚で発想し、提案したのは、桐箱に入った若狭塗の「八角」の高級箸セット。80周年の「8」にちなんだものだった。競合からもたくさんの提案が行われた中、企画は見事、受け入れられる。そして、顧客からひとつの要望が寄せられた。営業担当の中山が語る。
「ただの高級な記念品というだけでは終わらない、何か『サプライズが欲しい』ということでした。」
桐箱の大きさは変えられない。知恵を絞り、出てきたアイディアは、受け取る人が驚く仕掛けだった。平らな厚い台紙を同封、折り込めば飾り台にできる仕組みにし、桐箱に入った鶴と富士山の描かれた高級箸を、美しく飾ることができるようにした。これは海外でも日本でも、きっと喜んでもらえる。中山はそう考えた。また、より箸が映えるよう、日本の伝統文化の水引で美しい箸置きを加え、さらに、桐箱の内側に、社長の感謝の思いがこもった手紙を同封することを提案した。
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